原稿締め切り直前にビッグニュースが飛び込んできた。本馬の父でもあるフィガロの産駒が、2012年の東京ダービーでワン・ツーフィニッシュを決めた。東京ダービー制覇はアンパサンドに続いて2勝目。他にもパンタレイが南関東SⅡの京浜盃に優勝するなど、ここにきてフィガロ産駒に勢いが出てきた印象だ。
　「この馬を競馬場に送り出す日を本当に楽しみにしているんです」とは市川ファーム代表の市川久さん。「もともと大人っぽい馬だと思っていましたが、思った以上の成長曲線を描いています。自分としては思い入れのある血統ですから、このファミリーから手応えの感じ取れる馬が出てくれるのは嬉しいです」と表情を緩ませる。久しぶりに見た本馬は、当歳時よりもがっしりと、さらに大人びた雰囲気を漂わせて放牧地にいた。
　「とにかく食いが良いんです。牝馬にありがちな神経質なところがないからだと思います。食べた分がすべて身になる印象です。まだまだ背も伸びそうですし、初仔ということをすっかり忘れてしまうような馬に成長してくれました」と市川さん。写真、動画でご確認いただけるように骨太の体型。その骨にはしっかりと筋肉が乗っている。
　そして、本馬に対する思いは厩舎スタッフも同じらしく「池田調教師はもちろんですが、厩舎の方々が牧場まで足を運んでくださいます。期待の高さを実感出来ますし、生産者として、こんなに嬉しいことはありません」と市川さんの声も弾む。母は浦和桜花賞を制したフィリアレギス。南関東の快速血統が、ベールを脱ぐ日が本当に楽しみだ。