今年の春で種牡馬として10年目のシーズンを迎えたアッミラーレの産駒が、ジワジワと実績を残し続けている。この春、OP入りを果たしたトキノエクセレントが、格上げ初戦の欅Sでも3着と好走した他、ケイジーウィンザーが1000万特別を逃げ切ると、地方でも昨年のJBCレディスクラシック3着馬のサクラサクラサクラが、続く年末の東京シンデレラマイル（SⅢ）で、伏兵に足元を掬われたものの2着と力のあるところを見せた。芝のノエル賞を勝ち、続いて京都牝馬S（GⅢ）にも出走したフラワーロックのような産駒もいるが、ダートで2度のレコードを記録した父同様、その多くが、水を得た魚のように砂上で活き活きとしている。
　母は、中島牧場代表の中島雅春さんの手によって、英タタソールズの繁殖セールを経て導入された米GⅠ3勝馬の半妹。その血統的なポイントはサドラーズウェルズとデインヒルの血を内包していることだろう。4番仔ベクトルが昨夏にJRAで2勝目を挙げ、大井所属の5番仔カクテルサンディは馬体重減に悩まされながらも2戦目で初勝利を記録したが、欧州の誇る偉大な2頭が伝える底力と成長力を考えると、繁殖牝馬として更に上を狙えるポテンシャルを感じる。そんな母の7番仔が募集本馬ロイヤル9である。
　当歳時のクビ抜けの良い、バランスの整ったグッドルッキングホース振りはそのままに、デインヒルの影響を強く感じさせる厚みのある馬体には、上背と胴伸びが加わった。その見た目の通り、動きは力感に満ち溢れ、ひと言で例えるなら、まるで“重戦車”。
　「ここまでの成長過程に注文はひとつもありません。血統通りパワータイプの競走馬になりそうですが、ディープ産駒だけじゃなく、こういう馬も頑張らないと競馬が面白くないよね」力強く放牧地を駆ける生産馬に対してそう笑いながら、中島さんが期待を込めた。