「関西の会員さんから『関西圏の地方馬募集をしてほしい』と以前から言われていてね。道営で使うつもりで見つけた馬だけど、それならばと提供しました」と、パイオニア精神を発揮した経緯を話すのは笹地牧場代表の笹地清幸さん。
　TFC初となる園田競馬所属予定馬のウルトラ21は、驚異の瞬発力で皐月賞を制したアンライバルドの産駒。昨夏デビューしたその初年度産駒のうちJRAへ登録されたのは僅か10頭に過ぎないが、その中からトウショウドラフタがファルコンSを勝った他、3頭がJRAで勝利。さすがはSS系の底力だ。
　一方の母マラブフリートは、シルクフェイマスの母セイントセーラやローズS2着馬ビワグッドラックの半妹にあたるノーザンファーム生産馬。その仔であるウルトラ21は重心の低い体型で、母父アフリートの影響が色濃く感じられる。脚が太く、いかにもダートの短い距離が合いそうだ。
　本馬は昨年11月から育成を開始。以降は門別競馬場の屋内坂路中心に鍛えられた。そして今回のラインナップ入りを受けて、2月29日にBTC近辺の富田ステーブルへ移動。今後は5月末の入厩を目標にBTCの施設を使って仕上げられる予定だが、頼もしい援軍となりそうなのが笹地さんの依頼で、ライダーとして本馬の育成、およびマネージメントを担当する上村勇人さんの存在だ。同氏は元園田競馬の騎手でもあり、その口から「スピードがあるし、門別よりも小回りの園田の競馬によりフィットするタイプです」と聞けば頼もしさは倍増だろう。また、本馬を管理予定の松浦聡志調教師とは騎手時代の先輩後輩の間柄。コミュニケーション面も抜かりはない。
　「勝つ度に斤量は背負わされるけど、強ければ園田は認定競走をいくつも重ねて勝てるからね。関西圏の会員さんにぜひ楽しんでもらいたいです」と笹地さん。新たなチャレンジを成功に導くために準備は万端。『細工は流々、仕上げを御覧じろ』だ。