三石川上牧場の分場であるペガサスファームの広い放牧地の柵の前に立つと、ほどなく本馬が駆け寄ってきて、興味深そうにクリッとした瞳を向けてきた。
　「うちで1番愛嬌があって、人懐っこいのがこの馬なんですよ」と、三石川上牧場代表の上山浩司さんが笑いながらすぐ横で教えてくれた。
　決して大柄ではないものの、コンパクトにまとまって丸みを帯びた馬体の募集本馬ロイヤル16。その幅のある馬体には、同牧場とは縁の深い父キングヘイローの影響がくっきりと現れている。膝下が短く、とても丈夫そうで、息の長い競走生活が期待出来そうな印象だ。
　父キングヘイローは2001年のスタッドイン。今年の春で種牡馬として13年目のシーズンを迎え、既にベテランの域に差し掛かりつつあるが、毎年コンスタントに100頭前後の配合相手を集めていることからも分かるように、馬産地での評価は変わりなく高い。これまでにカワカミプリンセスにローレルゲレイロという2頭のGⅠホースを輩出。その他にもキクノアローやキングスゾーンがダート交流重賞を制しているように、芝、ダート、距離の長短を問わず、様々なタイプの活躍馬を送り出している。その産駒は父同様、筋肉質で重心の低い馬が多く、比較的使い出しが早いのが特徴。そして、両親合わせて欧米のGⅠを11勝したという名馬の血脈が、確かな成長力を産駒にもたらしている。
　「馬格に似合わず、思いがけないくらい力があるのが本馬です。とても素直な馬なので扱いに困るということはありませんが、時々びっくりさせられるほどです。お母さんと比べても出来という面では上ですし、きっとこの先の変わり身が大きいと思います。色々な可能性を持っている馬ですよ」そう話す上山さんの言葉が頼もしく響いた。