2015年5月9日、風薫る東京競馬場で行われたプリンシパルSをアンビシャスが勝ち、ディープインパクト産駒のJRA通算勝利数が900勝となった。これはJRA史上19頭目の記録達成。なんと僅か4年11ヶ月でのスピード達成だ。今春、豪州へ遠征したリアルインパクトがGI・ジョージライダーSを勝ち、国内GI戦線ではミッキークイーンがオークスを制覇。そしてサイアーランキングは堂々のトップ（2015年5月31日現在）。No.1種牡馬の牙城は簡単には揺るがない。
　英国タタソールズ・ディセンバー繁殖セールを経て導入された募集本馬の母ドリームオブジェニー。仏2歳女王のクドジェニを起点にしたその牝系は、凱旋門賞馬バゴをはじめ欧米で活躍馬を多数輩出する名門だ。昨年、北米GI・ロデオドライヴSでGI4勝目を挙げたイモリエントはドリームオブジェニーの半姉の仔。優秀な繁殖牝馬が揃う谷川牧場の中でも、その評価は『特A』であることは間違いない。
　募集本馬ウルトラ1は、父の産駒として規格外なまでの馬格に恵まれた。それでいて、薄い皮膚に包まれたその馬体は柔軟性に富み、力強さと上品さを兼ね備えたクビ差しとバランスに優れた骨格、伸びやかでゆったりとした全身のフォルム、心肺機能の高さを想起させる深い胸前、長く理想的な角度の肩、身体を構成する全てのパーツがバランスよく整っている。そして身のこなしは力強く、かつ機敏でしなやか。緑の絨毯の上ではキレのある動きを早くも見せている。さらに、クレバーさと落ち着きを備えた性格は、競走馬として高いパフォーマンスを発揮する上で、大きな武器となるだろう。
　「昨秋に大きな期待をもって会員の皆さんに提供させてもらった馬ですが、間違っていなかったと思います」と谷川牧場代表の谷川貴英さん。希望に満ちた表情で、大舞台への道程に思いを馳せた。