「今までちょっとゆっくりだったけど、冬を無事に越した位からかな、軌道に乗ってきた感じがしますね。父の産駒らしい流石の成長力です。今まさに成長期の真只中と言ったところですよ」と提供者の坂本智広牧場の坂本一政さんの表情がとても明るい。
　引き続き、静内ファームで繋養されている募集本馬ブレイズ9は、今年2月から夜間放牧を開始した。馬にとって負荷の増す管理方法だけに、普通は夜間放牧を始めると馬体が細くなったりするものだが、本馬については、『逆にどんどん身体が出来てきた』と坂本さんも満足気な表情を浮かべる。この辺りは、総じて成長力があって馬格を備えた産駒を出す父ヴィクトワールピサの血の力が為せる業だろう。
　父は2011年のドバイWCを制して世界の頂点に立った名馬。引退後は、父として初年度から桜花賞馬ジュエラーを出したのを皮切りに、オープンで活躍する産駒が複数登場。今年の3歳勢についても、ウィクトーリアがGIIフローラSを勝った他、弥生賞3着馬のブレイキングドーン、フラワーC2着のエールヴォア、シンザン記念2着のマイネルフラップが重賞レースで上位を賑わせた。そして、同父の産駒であるクラブ所属の現3歳馬クードメイトルも540キロ近い雄大な馬格を誇っているように、父の産駒の成長力と馬格の大きさは折り紙付きだ。
　「夜間放牧を行いながら、何より腹袋がしっかりとしてきました。5月末生まれでしたので、当歳時はどうしても幼さが目立ちましたが、すっかり他の馬に上背なども追いついて、幅も出てきました。2歳戦の頭からという早熟タイプではないですが、丈夫な血統だし、まさに『無事是名馬』という馬になってくれて、長く会員さんが楽しめるタイプの競走馬になってくれると思います」と坂本さん。ブレイズ9を見つめるにこやかな笑顔が印象的だった。
【1歳5月末時点測尺 体高152cm/胸囲174cm/管囲20.0cm】