ナカノファームのかまど馬クロッサンドラ。黒、桃袖、桃格子の勝負服を背に活躍し、ついた呼び名が“土曜競馬のメインイベンター”だった。やや勝ち味に遅く、準OPに在籍した期間が長かったためそんな呼ばれ方をされもしたが、JRAではキャリア通算5勝を挙げた他、OP特別の欅Sで同じ元所属馬のアッミラーレの2着して、『ターファイト丼』を完成させるなど活躍。そして、学生時代にクロッサンドラの初陣を見た際に感じた興奮が、ひとりの若者に牧場を継ぐ道を選ばせるきっかけにもなった。
　「自分が手掛けた馬が、これだけたくさんの人を感動させる仕事って他には中々ないと思うんです」とナカノファーム専務の中野将大さん。
　そんな思い入れの深いクロッサンドラの後継繁殖牝馬の1頭ジャスティシアの初仔がブレイズ11である。19年前、高校生の中野さんを感動させた件のレースでクロッサンドラは出走馬の半数以上をタイムオーバーへと追い込む凄まじいスピードを発揮したが、その源となった悍性の強さは、母を介して本馬にも勿論受け継がれている。放牧地でも、自分より大きな馬に一切怯まず向かって行って、そして気持ちよく蹴散らすシーンによく遭遇する。
　「祖母、母とダートで活躍しましたが、フットワーク自体は柔らかく、芝でもと思える様な馬達でした。そして何よりスピードがありましたね。本馬も祖母由来の“激しさ”を持っていて、動きも柔らかいです。きっとキズナとの配合がピッタリ合ったのだと思います。キズナ×母父キンカメという組み合わせに相応しく、芝の中距離での活躍を期待しています」と中野さん。高校時代に目にした“あのシーン”から始まったストーリーに、またひとつ感動と興奮の物語を加えるべく、願いを込めて生産馬を送り出した。
【1歳5月末時点測尺 体高149cm/胸囲162cm/管囲19.0cm】