「当歳時はオールレディゼアに似ていると思っていましたが、考えていた以上に横幅が出て、一回り以上は大きくなりそうです。顔がデカいし、間違いなく“ヘビー級”だね」と笑顔で話す中島牧場代表の中島雅春さんが頼もしげに見遣るその視線の先では、迫力満点の黒鹿毛馬が、その大きな顔をこちらへ向けて悠然と佇んでいた。
　無敗の2連勝で朝日杯FSへ駒を進め、昨秋には1000万条件の特別戦を制した現役準オープン馬のタツミリュウをはじめ、3歳春にOP入りしたピンゾロ、交流JpnⅡの関東オークスで3着したシラヤマヒメと、母の仔はコンスタントに活躍中。現3歳の半兄オールレディゼアは、適性を把握するのに手間取ったこともあり、2014年5月現在、まだ未勝利だが、デビュー戦で3着するなど確かな能力の一端を示している。
　父スタチューオブリバティは、日本以外では愛国、豪州でも供用され、2007年の仏新種牡馬ランキング2位。豪州ではGⅠ2勝馬ヘイリストを輩出した他、本邦産駒の中からは、GⅢで2度の2着を記録しているカシノピカチュウ、春風Sを制してOP入りしたキクノストームなどが活躍。半兄に米古牡馬王者のレモンドロップキッドがいる血統は、さすが伊達ではない。そして、注目したいのは上級クラスへ出世している産駒は軒並み500キロ級の馬だということ。OP入り目前と目されるフミノファルコンに至っては540キロ台の大型馬だ。中島さん曰く“ヘビー級”間違いなしの本馬にとっては、頼もしいデータと言えそうだ。
　「距離的にある程度限界はありそうですが、競走馬向きの非常に強い気性をしていますし、大柄な馬体から見せる迫力ある動きは、ストームキャット系と母系の長所が上手い具合に絡み合った結果だと感じています。これまでの母の仔とはちょっとタイプが違いますが、これだけの身体をしていますからね。きっと期待に応えてくれると思います」と中島さん。確かな予感と大いなる期待を胸に生産馬を送り出す。