ロイヤル3について話すナカノファーム代表の中野富夫さんの表情が自然とほころぶ。「当歳時から筋肉の良い馬でしたからね。キングカメハメハの良さが、見た目からも動きからも伝わってくる感じでした。冬を越してもそれは変わることなく、全体的にひと回りほど大きくなりましたよ」と中野さん。
　父のキングカメハメハは2010、11年のサイアーランキング堂々の1位。昨年はディープインパクトにその座を譲ったが、今年5月末現在でランキング2位につけて、『逆転候補』の1番手だ。その産駒は、香港スプリントを制したロードカナロアが、今春の高松宮記念と安田記念を連勝しGⅠ4勝目を手にした他、ハタノヴァンクールとホッコータルマエの2頭が交流JpnⅠ競走を快勝するなど、今年も芝、ダート問わない活躍が目立っている。
　母はすっかりお馴染みとなった信頼の母クロッサンドラ。今年も、5番仔のハーデスが5戦目で初勝利を挙げ、4番仔のジャスティシアも1月の中京戦で味のある競馬を見せて2勝目を挙げた。共にまだまだ奥がありそうとは両馬を手掛ける平田修調教師の評価。準オープンにまで出世した初仔ステイドリームと2番仔アデュラリアも、年を経ながら力をつけて4勝ずつ勝鞍を積み重ねたように、その仔は総じて成長力を兼ね備えている。
　中野さんの言葉通り、父譲りの筋肉質な馬体のロイヤル3。手先の軽さ、しなやかな身のこなしなど、芝での走りが期待できそうだとはもっぱらの評価であり、豊かなスピードの源となる発達したトモは、母のこれまでの仔に共通したものだ。
　目標を尋ねると誠実な人柄そのままに、当歳募集開始時と同じく『まずはひとつ』との言葉を繰り返した中野さん。“まず”の先に広がっている景色は、桜色に彩られた仁川の芝コースだ。