当クラブではお馴染みのフジャブの血統がどんどんその枝葉を広げている。GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズで3着だったサウンドオブハートは年が明けるとOP特別の紅梅Sに優勝。GⅠ桜花賞でも強豪相手に見せ場をつくって4着と健闘した。上位3頭はオークスでもそのまま入線しており、骨折のため、桜花賞後は戦列を離れることを余儀無くされたサウンドオブハートも復帰後の活躍が期待されるところだ。また、7歳を迎えた韋駄天シルポートは、中山記念で2着のあと、マイラーズCを逃げ切って同レース2連覇。通算3つ目の重賞タイトルを手中にしている。
　本馬は、シルポートやサウンドオブハートがそうだったように、当歳秋から青森県のタイヘイ牧場に移動し、北海道の牧場では出来ない冬期間の昼夜放牧で鍛えられた。
　「ピリッとした気性はファミリーに共通したものです。馬同士では激しい面を見せますが、人間に対しては信頼を寄せています。心身ともに順調に成長しています」とタイヘイ牧場のゼネラルマネージャーである八尾圭樹さんが現状を報告してくれた。背が短く、腰高の体型にはスピード馬の特徴が良く出ているが、身体全体が引き締まり、筋肉量が増えた印象だ。聞けば、昼夜放牧に加えてウォーキングマシンでの運動をスタートさせるくらいに体力が備わってきたという。
　父ハイアーゲームはサンデーサイレンス直仔の良血種牡馬。スピードを兼ね備えた中、長距離馬で「母系の良さを消さないで、スタミナを補完出来る」として配合相手に選ばれた。父母間に生じるGallantManとMehrabiの全姉弟クロスには、そんな意味も込められている。
　「生まれた時から期待の高かった馬です。期待する繁殖牝馬の初仔という意味でもしっかり管理したい」と話す八尾さんの表情からも期待のほどが伺い知れた。